担当医師からのメッセージ
当院の屈折矯正手術の第一選択はICL手術です。以前主流であったレーシック手術と比較して適応範囲が広く、強度の近視でも手術可能であるという特徴があります。当院では経験豊富な医師と専門的なスタッフが、患者様の個別の状態に合わせて最適なICL手術プランを提案し、手術の前後にわたり丁寧なサポートを行います。また、術後長期のアフターケアも行っております。コンタクトや眼鏡から解放されたいと感じている方、ICL手術に少しでも興味をお持ちの方など、お気軽にご相談頂ければ幸いです。
当院のスーパーバイザー
当院でICLの手術を執刀し、また指導をしていただいている神谷和孝先生は、ICLの開発や多くのICL研究に携わっている、ICL第一人者です。エキスパートドクターとして、これまで当院を含め数十施設以上のICL ライセンス手術指導を行ってきています。
神谷和孝:
世界が変わる!次世代眼内コンタクトレンズ 日本橋出版
神谷和孝、清水公也:
有水晶体眼内レンズ手術 動画付き 医学書院
概要
ICLは、「眼内コンタクト」とか「有水晶体眼内レンズ」とも呼ばれます(図1)。目の中の虹彩の後ろと水晶体の間(後房)に埋め込むレンズです(図2)。
ICLは、2010年に厚生労働省の承認を得て、当初はレーシック手術が適応とならない、強度近視の患者に対する手術治療に使用されました。初期のICLは術後白内障や眼圧上昇などの合併症が報告されており、安全性の向上が望まれていました。近年ICLの改良がすすみ、安全性の向上とともに、レーシック手術より術後の視機能の質が高くてドライアイの発生も少なく、満足度も高いことが評価され、近視・遠視・乱視、さらに軽度円錐角膜へと適応が拡大しています。
厚生労働省の承認を得てから10年以上が経ち、眼鏡やコンタクトレンズから解放され、新たな時代の「視力回復手術」として注目され、今では、視力回復手術の主役となりつつあります。
実際に世界全体でみると既に200万件以上の手術実績があり、現在年間約1万件以上の手術が行われていて、特に日本国内において手術件数の増加が著明です。
参考: ICL研究会
図1 ICLの外観
無色透明の柔らかい素材でできていて、日々の手入れが一切不要である。
図2 ICLの固定位置
ICLは「後房」といって虹彩の後ろと水晶体の間に固定される。
ICLについて動画で見る
ICLのメリット
レーシック手術より優れた、コントラスト感度(見え方の質)や満足度
日帰り手術 回復も早い
両眼で約20分の日帰り手術です。縫合や抜糸の必要がなく、傷口は自然に治癒します。
眼に優しい生体適合の素材
無色透明のソフトコンタクトレンズのような素材で、有害な紫外線をカットする機能もあります。
半永久的に使用可能です。
手術後はずっとお手入れ不要
眼の中のレンズはくもったり汚れたり、ゴロつくことがないので、日々のお手入れや、メンテナンスは不要です。
強度近視に対応
レーシックの適応にならない強度の近視(約-18Dまで)・遠視・乱視も対応可能。
ドライアイになりにくい
切開創が小さいため、ドライアイの原因にはなりません。
(元々ドライアイの人は症状が改善することはありません。)
ハロー・グレアが起こりにくい
夜間や暗いところで光を見たときに、ハロー(光の周辺に輪がかかって見えること)やグレア(光が長く伸びてまぶしく見えること)が起こりにくい。
元に戻せる安心
角膜を削らないので、万一、不具合が生じた時にレンズを取り外して元の状態に戻すことができます。将来、眼の病気になった時、治療の選択肢が狭くなるようなことはありません。
治療方法の比較
ICL | コンタクトレンズ | レーシック | |
矯正方法 | 角膜に切れ目を入れて、眼内レンズを挿入する | 角膜の上にコンタクトレンズをのせる | レーザーでフラップを作成し、エキシマレーザーを照射して角膜を削る |
---|---|---|---|
角膜の形状 | 変わらない | 変わらない | 変わる |
近視 | ◎強度近視対応可能 | ◎強度近視対応可能 | 〇 |
遠視 | 〇 | 〇 | 〇 |
乱視 | 〇 | 〇 | 〇 |
快適性 | 裸眼と同じ | 異物感を生じることあり | 裸眼と同じ |
見え方の質 | コントラスト感度が向上する。瞬きによる影響がない ・ハロー・グレアが起こりにくい | 瞬きによって見え方が不安定となることがある | コントラスト感度が低下し、見え方の質はやや低くなる。特に夜間で顕著 |
視力の安定性 | 安定している | 瞬きによって見え方が不安定となることがある | 時に近視のリバウンドがある |
リスク | 稀に手術による合併症があるが、他の手術に比べ、安全性高い | 稀に装用による合併症がある | 稀に手術による合併症がある |
ドライアイ | 影響なし | 不向き | 一部悪化あり |
可逆性 | レンズを取り出すことが可能 | 可能 | 不可能 |
費用 | レーシックより高価 | 安価も費用が続く。1Dayタイプでは数年程度でICLと同額 | ICLより安価 |
症状
「近視」とは、遠くから入った光が網膜より手前(角膜寄り)で像を結ぶ状態を指します(図7)。像を結ぶ場所が網膜から離れるほど、近視は強くなります。遠くがぼやけ、手元にしかピントが合わなくなります。
近視の程度は、「屈折異常」の度合いを表す単位「ジオプター: D」であらわし、大きくなるほど強い近視になります。3D未満は「軽度近視」、3D以上6D未満は「中等度近視」、6D以上は「強度近視」に分類されます。
「乱視」とは、光の入る方向(向き)によって、像を結ぶ位置が異なる状態を指します(図8)。焦点を結ぶ位置が離れるほど、乱視が強くなります。軽度であれば、ぼやけて見えることはあまりありませんが、中等度以上になれば、遠くも近くも見えにくく感じます。乱視の度合いは時間経過とともにあまり変化しません。
治療: 手術
目薬で麻酔をした後、黒目の端に約3mmの小さな切り込みを入れ、柔らかい素材のレンズを虹彩の下に挿入します。片目の手術には約5~10分程度かかり、日帰り手術となります。手術中に痛みを感じることはほとんどなく、また、傷口が小さいので縫合は不要です。
手術手順
- 瞳孔を拡大させ、点眼麻酔をして、角膜の縁を約3mm切開します。
- そこから目の中に二つ折りに畳んだレンズを目の中に入れます。
- レンズを虹彩の下に入れて固定します。
- 瞳を縮める目薬を入れます。
リスクについて
現在のICLでは合併症はとても少なくなっていますが、以下の合併症がまれに起こることがあります。
ハロー・グレア
夜間や暗いところで光を見たときに、ハロー(光の周辺に輪がかかって見えること)やグレア(光が長く伸びてまぶしく見えること)の症状を感じる場合がありますが、ほとんどの方が数か月で解消します。
白内障
ICLと水晶体が接触した場合や、房水の流れが悪くなることによる代謝異常によって、水晶体の混濁(白内障)をきたすことがあります。視機能に影響する場合は、ICLを取り出し、白内障手術を行います。
その際は新たに眼内レンズを入れますので、またよい視力を取り戻すことができます。レンズのサイズが小さく白内障を引き起こすおそれがある場合は、レンズを交換します。以前のレンズでは長期的にみると2~4%発生していましたが、新しいホールICLレンズ(EVO ICL)になってからはその発生率は低下しています。
眼圧上昇
手術直後は若干の眼圧上昇をきたします。通常は目薬や飲み薬、時には点滴などをして眼圧を下げてから帰宅していただきます。稀に、眼圧が下がらない場合はレンズを取り出したり、レンズサイズが大きい場合には、適切なサイズのレンズに入れ替えることもあります。
角膜内皮細胞障害
眼科手術においては起こりうる合併症ですが、ICLの術後はわずかな障害に留まっています。
度数のずれ
術前に予測した屈折度数とずれが生じ、期待する視力より若干劣る場合があります。
手術費用
大切な目を扱う、みなさまの一生を左右する手術です。眼内コンタクトレンズ(ICL)を受ける場合は、料金だけを比較して病院を選ぶのではなく、本当に信頼できる医療機関をお選びください。
片眼 30万円(税込)両眼 60万円(税込)
乱視用:片眼 35万円(税込)両眼 70万円(税込)
※手術当日から手術後1週目までの検査費用は料金に含まれます。
手術前検査代は別途20,000円(税込)です。
ICL手術は「自由診療」です。厚生労働省に正式に認可された治療法ですが、健康保険は適用されません。ただし、保険会社による医療保険は適用される場合がありますので、医療保険に加入されている方は、保険会社にお問い合わせください。また、ICLの費用は、医療費控除の対象となります。詳しくは国税庁のサイトをご覧ください。
お支払い方法
現金・クレジットカード